2015年05月30日

4月 桜の湯街かみのやま、春逍遥

待ちわびた春の到来に
桜の湯街のあで姿を訪ねて。

2015年4月

 春の気配とは無縁の12月に、花屋の店頭を彩る淡いピンク色の桜があるのをご存知だろうか。啓翁桜だ。山形県は昭和40年代半ばから全国に先駆けてこの桜の促成栽培を手掛けた産地で、国内第一位の生産量を誇る。上山はこの啓翁桜の主な産地としても知られる、まさに桜の街だ。
 冬枯れの景色の中ではなかなか気付けないものの、4月半ば過ぎを迎えると温泉街のあちこちで思わず足を止める見事な桜の姿を見ることができる。風情あふれる城下町に似合う桜が奏でる絵画を、湯めぐりとともに愛でつつ歩く。これが春の上山歩きの贅沢だ。今回は、エリア毎にコンパクトに楽しめる温泉街の主な桜の見どころをご紹介したい。

↓かみのやま温泉 桜イラストMAP
★上山桜イラストマップ葉山舘入.jpg★上山桜ガイドマップ葉山舘入.jpg

07松尾山観世音★s.jpg02松尾山観世音入口の桜★s.jpg05松尾山観世音★s.jpg
10権現堂のしだれ★s.jpg13長勝寺★s.jpg
18高仙寺★s.jpg15高仙寺★s.jpg20熊野神社★s.jpg

◎かみのやま温泉駅東側(三吉山・須川周辺)

<松尾山観音の桜> 
 蔵王温泉へと向かう県道21号線の入口、蔵王半郷にある寺。奈良時代の和銅年間(708〜715)の創建で本尊の聖観世音菩薩は行基の作と伝わる。最上三十三観音の第九札所。素朴ながらも品格のある茅葺き屋根のお堂は国重要文化財指定。太鼓橋のかかる小さな庭園のある境内には、市指定の天然記念物のエドヒガンザクラの古木とカツラの木がある。周囲には桜を眺めながら歩く参道や、清らかなせせらぎも広がり心和む佇まい。
<権現堂の桜> 
 蔵王温泉へと続くもうひとつのルート、県道14号線沿いの権現堂公民館の敷地内にあるシダレザクラの巨木。高さ約13m、根回り約6m、推定樹齢500年。紅色の花弁がまるで優美な晴れ着を着ているように見えることから、別名「振袖桜」とも呼ばれる。村山地方を代表する一本桜の名木。
<長龍寺> 
 権現堂から数分程、県道14号線を登った場所にある、ムカサリ絵馬でも知られる古刹(詳細はこちらのブログを参照)の境内のシダレザクラ。推定樹齢350年。上山市街地から100m以上も高地に位置するため開花時期はやや遅め。
<高仙寺> 
 上山市街地の東、上山市仙石地区の山の中腹にある寺。境内にある推定樹齢200年のシダレザクラの古木は、高さ約10m、枝張り約13m。空に開いた巨大傘のような美しい冠状の樹形は華やかさがある。市指定文化財。
<熊野神社>
 高仙寺の東隣に建つ社。鬱蒼とした杉林に囲まれた境内の社殿脇には枝ぶりも見事なシダレザクラの巨木が静寂の中に佇んでいる。

24糸目観音堂★s.jpg25刈田峯神社★s.jpg27御幸公園★s.jpg28御幸公園★s.jpg31御幸公園★s.jpg

<糸目観音堂>
 国道13号線から狭い道を登った、懐かしい面影の残る里山の斜面でひときわ目を引くエドヒガンザクラ。地元で古くから信仰を集める十一面観音像を祀る小さな御堂と周囲の長閑な景色は昔話の世界。
<刈田峯神社>
 吉野の蔵王堂から分霊され寛元元(1243)年に勧請。高仙寺の西、国道13号線から少し入った場所にある神社。背後の山を借景にひっそりと立つ3本のシダレザクラの古木は、知る人ぞ知る静寂のスポット。
<みゆき公園の桜並木>
 明治天皇の休憩地(行在所)だった事を記念して名付けられた公園。芝生が広がる園内には上山出身の歌人、斎藤茂吉の遺品や遺稿、遺墨、自筆の書簡等を展示する「斎藤茂吉記念館」(詳細はこちらのブログを参照)がある。高台に建つ公園からは雄大な蔵王連峰のパノラマが楽しめ、山形新幹線、奥羽本線が公園脇を通り小さな駅も直結。駅をつなぐ道は200本もの美しい桜並木のトンネルで知られ、花の見頃には残雪の蔵王連峰と桜並木の色鮮やかなコントラストが楽しめる

34三吉山★s.jpg36金剛院★s.jpg37金剛院★s.jpg39金剛院界隈★s.jpg41須川河岸堤★s.jpg42須川河岸堤★s.jpg
43旭昇桜★s.jpg45花咲山★s.jpg46花咲山★s.jpg

<三吉山のシンエイザクラ>
 三吉山は上山市街地の東にそびえる標高574mの山。温泉街で取り組む「かみのやま温泉クアオルト」(詳細はこちらのブログを参照)の里山コースのひとつ。山頂には天保8(1837)年に秋田の太平山三吉大明神から分霊勧誘した三吉神社があり、石鳥居のある中腹までは車で行くことができる。遠く月山、葉山、鳥海山の素晴らしい眺望が広がる山頂に咲く淡紅白色のシンエイザクラ(信英桜)は、日本でもここにだけしか自生しない稀産種として知られ、赤い若芽と花弁の色のコントラストが美しい。
 中腹から山頂までのびる高低差273mのウォーキングコースルートは3つあり、杉木立やアカマツ、サクラなどの高木林や「岩海」と呼ばれるガレ場など変化に富んだ景色が楽しめる。山頂からは尾根づたいに連なる葉山(標高687m)への縦走コースもある。
<金剛院>
 三吉山の麓に位置する寺。桜は石段を登った本堂の手前と裏手にある。本堂の裏には小ぶりながらも手入れされた池泉式回遊式庭園が広がる。寺の周囲を流れる須川の支流沿いにも美しい桜が林立し、涼しげなせせらぎの音色のなか、れんぎょうや椿とのカラフルな色彩が楽しめる。
<須川河岸堤の桜並木>
 桜を愛する地元の有志、須川河岸に桜を植える会(須桜会)が昭和30年代に植樹した桜並木。整備された河岸に樹齢50年を超える木々が連なる沿道は、花の季節には見頃なピンク色の光景が広がる。
<旭昇桜>
須川の2本の支流が合流する間の河川敷にある一本桜。1960年に旭町子ども会が記念植樹したソメイヨシノで、横綱が土俵入りで見せる姿のように左右に広がった見事な枝張りは市内随一と言われ風格も満点。
<花咲山>
 葉山舘のある葉山温泉街のすぐ裏手に位置する小山(詳細はこちらのブログを参照)。「かみのやま温泉クアオルト」のウォークングコースのひとつ。桜回廊と称された頂上へと続く約1時間程度の散策路には桜が植樹され、ウォーキングしながら花見が楽しめる。

70月岡公園★s.jpg62月岡神社★s.jpg63月岡神社沢庵桜★s.jpg
65上山城★s.jpg64上山城★s.jpg67月岡公園★s.jpg
69月岡公園★s.jpg71月岡公園★s.jpg75観音寺★s.jpg
78武家屋敷通り★s.jpg81湯町足湯★s.jpg92法圓寺★s.jpg

◎上山城・湯町・十日町周辺

<上山城と月岡公園>
 約80本のソメイヨシノの古木がある上山城周辺(詳細はこちらのブログを参照)は観桜の名所。開花時はライトアップされた桜と天守閣が映し出され幻想的な姿を見せる。展望台から望む蔵王の雄姿と、眼下に広がる桜絵巻は秀麗。敷地内にある無料の足湯に入りながら、のんびりお花見を楽しむのもおすすめ。
<月岡神社の沢庵桜>
 天守閣に隣接し、明治11(1878)年に勧請された月岡神社は江戸時代中期から明治維新にかけ上山藩の藩主を歴任した藤井松平家の始祖の松平利長公、2代目で家祖となった松平信一公を祀る社。花の見頃となる毎年4月24・25日には前夜祭、例祭が催され、地元の人々で賑わう。境内には京都から配流された高僧、沢庵禅師ゆかりの沢庵桜もある。 
<武家屋敷通り>
 藩政時代の趣をそのままに残した武家屋敷通りも上山城とあわせて楽しみたい桜スポットのひとつ。毎年3月には上山市産の啓翁桜をアピールする「かみのやま桜フェス」が武家屋敷の三輪家、旧曽我部家、長屋門ギャラリー(十日町)で開催され、ひと足早い春の装いにあふれる。
<上の山観音(通称/湯の上観音)>
 すぐそばにある観光客にも人気の「下大湯公衆浴場」(詳細はこちらのブログを参照)の湯気のため、市内で最も早く咲くサトザクラがあることで有名。古き良き時代の佇まいが残る湯町には無料で楽しめる足湯や、地元の人が通う共同浴場もあり、花見をしがてらの気ままな湯遊びもできる。
<法圓寺>
 羽州街道(十日町)を挟み上の山観音寺と対極に位置する川沿いの古刹。堂々たる山門や格式を感じる本堂等の佇まいもさることながら、境内の奥にある見事な枝ぶりの松がひときわ目を引く庭園美でも有名。庭園の桜は昭和32年の河川工事で切り倒された両岸の桜並木の名残を唯一留めている。

49栗川稲荷★s.jpg47栗川稲荷★s.jpg48栗川稲荷★s.jpg
50石崎神社★s.jpg53西光寺★s.jpg60西光寺★s.jpg

◎上山城西側周辺 

<栗川稲荷>
 かみのやま温泉街のはずれの高台に鎮座する稲荷神社。元禄10(1697)年、備中国庭瀬の城主、松平信通公が上山城主として赴任した際、信仰していた稲荷を移したのが由来とされる。幾重にも連なる赤い鳥居とソメイヨシノやエドヒガンザクラのコントラストが美しい。
<石崎神社>
 栗川稲荷神社のすぐそばにある神社。参道の石段を覆うように広がる桜が春には花のトンネルになる。境内には遊具もあり、毎年7月に開催される例祭、通称「お天王さま」では夜店も立ち並び、地元の子供たちで賑わいを見せる。
<西光寺>
 石崎神社の東にある西光寺には樹齢200年、市内最大級の樹冠のエドヒガンが自立し、満開時になると朱塗りの山門が桜で覆い尽くされる。本堂前にはソメイヨシノの大木もあり、双方が市の保存樹に指定されている。

82寿仙寺★s.jpg83寿仙寺★s.jpg84寿仙寺★s.jpg85寿仙寺★s.jpg
86浄光寺★s.jpg87清光院★s.jpg88清光院★s.jpg

◎国道458号線周辺

<寿仙寺>
 国道を挟み湯町と向かい合う地区にある古刹。出羽十三佛札所。境内の老木と里山の新緑の調和が美麗。本堂へと真っ直ぐと伸びる参道脇に建つ地蔵堂がある。手入れされた端正な佇まいと庭木、庫裏の白壁と桜のバランスは静謐な風格。
<浄光寺>
  寿仙寺のすぐ近く、豪壮な山門がひときわ目を引く寺は長禄3(1459)年、上山温泉を発見した月秀上人が阿弥陀如来像を安置し開山したと伝わる。元禄10(1697)年、松平信通(藤井松平家当主)の上山藩入封とともに歴代藤井松平家の菩提寺として隆盛。境内にある庭園は沢庵禅師が作庭したもので、京都龍安寺の裏庭と桂離宮の庭園をそれぞれ模したものとされる。別名「ガマ寺」とも呼ばれ、春先には数百匹ものガマガエルがどこからともなく集まると言われる。寺の風格を表すソメイヨシノの巨木が山門と境内と墓地に佇んでいる。
<清光院>
 神道大教の施設で、桜の大樹が佇む建物裏手の高台からは、花越しに上山市街地と蔵王の山並みを望むパノラマが楽しめる。

94龍神桜へ途中★s.jpg97龍神桜★s.jpg98龍神桜★s.jpg

◎その他

<龍神桜> 
 上山市街の西、高松地区からの狭い一本道をひたすら登った三方山の高地にひっそりとある過疎集落、竜沢地区にあるエドヒガンの一本桜。県内最大級の大きさで推定樹齢300年以上。標高の高さから麓よりも開花時期が遅く、例年、見頃は5月のGW頃。近年は鳥による花芽被害も出ている。集落へ向かう途中には、かつての分校跡で公民館として使用された廃校など、世俗と隔離された雰囲気が漂う。

DSC04396山城屋昼★s.jpgDSC04898山城屋★s.jpgDSC04913山城屋★s.jpgDSC04728山城屋★s.jpg
DSC04789山城屋★s.jpgDSC04697山城屋宵★s.jpgDSC04687山城屋宵★s.jpg
DSC04843山城屋★s.jpgDSC04803山城屋★s.jpgDSC04709葉山舘の朝★s.jpg

城下町が奏でる花の絵画。
目に舌に芳醇な旬との出会い。

 上山には天守閣をはじめ古い町並みや歴史ある寺社仏閣が立ち並び、見応えのある巨木など絵になる情景に事欠かない。またソメイヨシノ、エドヒガン、シダレザクラ、サトザクラ等の多様な種類に加え、盆地ならではの標高差も影響し、長い期間さまざまな桜との出会いが楽しめる。上山で花見をするなら一度で欲張らずに、ぜひ時間をかけて移り変わる春の新緑とともに度々訪れてみてはいかがだろう。
 花詣でのひとやすみには、葉山館がもてなす斎藤茂吉ゆかりの「山城屋」(詳細はこちらのブログを参照)で旬の味わいにも舌鼓を。ここでは地元野菜にこだわった手軽なランチから、県産ワインも楽しめる本格的ディナーを用意している。ディナーは葉山館の宿泊客も利用でき、連泊するにもうれしい趣向だ。
 7月からは昨年も好評だった「氷すい」もいよいよスタート。茂吉が愛した蔵王の山々を眺める趣たっぷりの高楼で、季節が届ける空の気配や風の香り、光の佇まいをぜひ、惜しみなく楽しんでいただきたい。




posted by kaminoyamaaruku at 17:12 | 日記 | 更新情報をチェックする
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